【読書感想】限界費用ゼロ社会 <モノのインターネット>と共有型経済の台頭
限界費用ゼロ社会 <モノのインターネット>と共有型経済の台頭を読んでみました。
昔から疑問に思っていた「資本主義って本当に正しいのかな・・・」というモヤっとした考えが少し言語化できたような興味深い内容だったので内容を要約します。
まとめ
■この本が言いたい事
・資本主義の時代は後退し、共有型経済の時代へ変わっていく
■なぜか?
・資本主義が成熟すればする程、テクノロジーの進化によって生産性は高まる。
・極限まで生産性が高まると、サービスやモノを生み出すコストは(ほぼ)ゼロになる
■資本主義の抱える矛盾
・生産量を増やす→雇用が増える→GDPが増える→所有物が増える
というループがここ数十年の豊かさを産んできたが、以下のような理由で仕組み自体に限界がきている
・GDPの向上と雇用の増加が相関しなくなってきている
一九九五年から二〇〇二年にかけて、世界全体の生産量は三割以上増えたにもかかわらず、グローバル経済で製造業の雇用が二二〇〇万人分も消失したのだ。
・規模の論理を活かし、高い効率性を武器に収益を生み出してきた垂直統合型の組織(中央集権的な大企業)は、知識やモノの共有を前提とした共有型社会では逆に効率が悪い
私有を軸とした資本主義モデルでは、各企業が孤立した存在で、規模の経済の達成を目指して経済活動を一つ屋根の下に垂直に集めようとするため、その運営上の特徴そのものが災いして、水平展開型の事業で何千もの関係者が積極的に協働することが求められる活動は管理できない。
・過度な物質的な豊かさは、幸福度に繋がらないことが分かってきている
人々の幸福度は、一人当たりの平均年収が約二万ドル(最低限の快適水準)に達するまでは上昇するが、その後は収入がさらに増加しても、その幸福度への貢献度は減少する結果となることが判明している。
■世の中の流れ
・第一次/第二次産業革命の裏側にあったのは「コミュニケーション・エネルギー・輸送」のそれぞれのテクノロジーの進化であった。(第一次:印刷技術・石炭・蒸気機関車など、第二次:電話・電気・自動車など)
・今起きている第三次産業革命でも「コミュニケーション・エネルギー・輸送」のそれぞれの分野で劇的なスピードで変化が起きようとしており限界費用ゼロを実現し得る技術が揃ってきている(IoT・再生可能エネルギー・3Dプリンター・自動運転技術・MOCCなど)
感想
「今の若い人たちはインターネットばっかりやってて幸せなのかねー。もっと人との繋がりを大切にした方がいいんじゃないかねー。」
とか
「最近の若い奴らは全然ギラギラしてない!もっと派手に遊べよ!俺が若い頃は・・・(略)」
とか
さとり世代・ゆとり世代と呼ばれる今の10代〜20代に対してそんな印象を持たれているような気がしますが、実際には昔と方法論が変わっただけで、インターネットというコミュニティを通じてよりたくさんの人と繋がり、社会的な活動をはじめとした自分が幸せだと思える時間の使い方をしていて、時代に沿った生き方が始まった世代なんじゃないかなと思いました。
二〇一三年に、ドイツは電力の二三パーセントをすでに再生可能エネルギーによって生み出しており、二〇二〇年までにはその割合が三五パーセントに達することが見込まれる
3Dプリンターによる臓器の作製は、順調に進んでいる。ノースカロライナ州のウェイク・フォレスト再生医療研究所は最近、生細胞を使用してヒトの腎臓を3Dプリンティングにより試作した
は自分が思っているよりも大分進んでいて驚きました。 臓器を3Dプリントできるんですね・・・
本としては具体的な数値も多く載っていて、昔読んだワーク・シフト−孤独と貧困から自由になる働き方の未来図に近い感じかも。
今後50年で起きる大きな時代の変化に身を置けることに対して、ワクワクしました。
こんな社会の実現を加速できるような仕事をしたいなと思います。
それでは。